第4章 夕虹
……とはいうものの。
俺は、大野さんに会いにここに来たんであって、酒を飲みに来たわけではないのだ。
年齢を誤魔化して飲酒だなんて、さすがにやんちゃがすぎるよな。
俺は、アルコールはこの一杯だけにしよう、と、心に決め、少し背筋をのばした。
そうして、チビチビとカクテルを舐めながら、ぼんやりとスマートに立ち回る三宅さんを見ていると。
「こんばんは。松本くん……だったよね」
不意に反対側から話しかけられ、顔をむけると、バーテンダー姿の長野さんがニッコリ笑っていた。
俺は、ぺこっと頭をさげた。
「あ……こんばんは」
「いらっしゃい。大野に会いにきたの?」
「はい……でも今日はお休みみたいで」
「……そっか。今月は大学が夏休みだから、わりと平日も入ってたのに、タイミングあわなかったんだ……残念だったね」
「……大学」
大野さん、大学生ってことにしてるんだ。
やっぱり年は誤魔化してんだな。
いや、だけどあんな、可愛らしい大学生いる?
俺は、自分のことを棚にあげ、ちょっと笑ってしまった。