第4章 夕虹
夏の夕刻に、こんな公園の片隅の東屋になんか誰も寄り付かない。
「うっ……くっ……」
俺は、それをいいことに、しばらく人目をはばからず泣いた。
セミの鳴く声が俺の声をかき消してくれるようで、思い切り泣いた。
そうしてさんざん泣いて……涙も汗も出尽くした頃。
東屋をつつむ辺りが、薄暗くなってきたことに気づく。
蚊も寄ってきてて、あちこち痒くなってきた。
あんなにショックをうけて泣いてたのに……なんか滑稽だな、と半パンからでてる素肌をボリボリかきむしる。
「はぁ……サイテーの誕生日だ」
苦笑いながら、うつむいた。
会いたいな……
俺は、ふにゃりと笑う大野さんを想う。
どんなに反対されようが、あの人を好きだな、と思う。
一緒にいたゲイの人ってのが……気になるけど。
気になるなら本人に聞けばいいよな、と思い直す。
空は、次第に群青に染まってきた。
家には帰りたくない。
かといって、大野さんちに行ったら、兄貴が連れ戻しに来るかもしれない。
兄貴が知らない場所で、大野さんに会えそうな場所は。
「KING……かな」
大野さんのひそかなバイト先。
試しにいってみようか。
仮にいなくてもいい。
今は……家以外の場所にいたい。