• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹



「……知ってるけど」


だからどうした、みたいな口調ではあるが、ちゃんと反応してくれたことに、初めて会話が成り立ちそうだ。

俺は、実は……と、さっき風間に聞かせたように朝の出来事を話した。
大野さんのことを知りたいが故だった。


すると、ますます二宮の目が鋭くなり。


「え……それで、サト…いや…あの人は?もう大丈夫なの?」


食いぎみに聞いてきたから、俺は驚きながらも答えてやる。


「……多分な。でもまだ目眩が残るからって、そのまま保健室行ってたけど」


すると、二宮は、だから言ったのに……、と小さく呟いて、前髪をかきあげた。
その仕草、その呟きが、本当に自然で。

俺の思う以上に、二宮は大野さんと親しいことが見てとれた。
だから、思わず聞いてしまった。


「……どんな人?」

「?」


二宮は、何を聞かれてるのかわからないという顔で、俺を怪訝な目で見る。
聞いた俺も、自分何いってんだ、と自分につっこみながら、取り繕うように早口で言った。


「いや……大野さんって。すごく綺麗な人だったから。どんな人なんだろう……って」

「…………綺麗だっつったら、あの人機嫌悪くなるから言わない方がいいよ」


二宮は、冷たい目でそれだけを言い、くるりともとの体勢にもどって、体を伸ばし始めた。


その背中は、この話題の完全な拒絶を表してる。


さすがの俺もそれ以上聞くことはできず、二宮の背中を再び押した。
/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp