第4章 夕虹
さすがに中学生にあがってからまで、大学生の彼らについてまわることはしなかったけど、俺は兄貴と風磨さんのコンビがうらやましくてしょうがなかった。
しまいには、風磨さんのポジションが欲しくて欲しくてたまらなくて……二人に加わりたいというよりも、自分が兄貴の隣に立ちたかったのだろう。
今思えば、ここが兄貴への想いが恋にかわった瞬間だった、と思う。
「……どうする。お茶するか。ケーキ食うか」
「いや…まだいい」
俺は、首を振り、黙った。
俺のそっけない態度に、兄貴はあきらめたように、そうか、と、椅子から立ち上がった。
今の兄貴には、どうしても今までのように心を開けない。
大野さんを認めない兄貴は……もはや、肉親とはいえ俺のなかではありえない。
「じゃあ、夕飯のあとにでも母さんと食え」
「…うん」
頑なに顔をあわせない俺に、そういって部屋を出ていきかけた兄貴。
その気配を背中で感じてると、兄貴は、ああそうだ、と思い出したように呟いた。
「Kikuchiで、大野にあったぞ」
「………っ」
俺は、思わず振り返る。
なんだって?
俺の様子に、兄貴は微笑みさえ浮かべている。
「よく謝っといたからな」
「……なにをだよ」
「もう泊まりにいかないからと伝えておいた」
は?!
俺は、カッとして怒鳴った。
「……勝手なこといってんなよ!」