第4章 夕虹
「宿題はすんだのか」
部屋に入ってきた兄貴は、室内をぐるりと見渡し、ベッドに寝転んでる俺を見て、責めるでもなく、穏やかに聞いてきた。
「……まだだけど」
俺はぼそりと言い返す。
……机の上は乱雑におかれた問題集や、プリントが放置されてて、どうみたって終わってるようにはみえないはずだ。
嫌味にしか聞こえねーよ。
俺は、どうしても無表情になっていく顔をとめれなくて、兄貴から顔を背けるように、再び寝返りをうった。
兄貴が、キィ……と、音をたて、俺の勉強机の椅子に座った気配がした。
やだな……何の話しに来たんだよ
俺は唇をかみ、ため息をつきたいのを我慢した。
やがて、兄貴は、再び穏やかに話しかけてきた。
「おまえ、今日誕生日だろ……Kikuchiのケーキを買ってきたぞ」
「……うん」
「風磨が、おめでとうだとよ」
「…………うん」
風磨さん……兄貴の同級生。
パティシエをしてて、郊外でスイーツのお店を開いてる。
幼い頃は、この二人の仲間にいれてほしくて、一生懸命ついてまわったけど、子供扱いされて、悔しくてよく泣いてた。