第4章 夕虹
俺は、ころりと寝返りをうち、白い壁をじっと見つめ、あの気配を思い出した。
すうすうと寝息をたてて眠る大野さんは、まるで天使みたいだった。
呼吸のたびにゆるく動く胸や、たまに足を動かす衣擦れの音にいちいちドキドキした。
生殺しとはよくいったものだけど、まさしくあれ。
手を伸ばしたいのに、伸ばしてはならなくて。
肩が触れたら、飛び上がりながら、そっと反対側に体を移動させ、しまいには俺は壁にはりつきながら横になってた。
…あの時、俺は、この人が好きだ、と、改めて自分の気持ちが分かったようなものだ。
もともと、自分自身が、性別にこだわらないタイプなのだろう。
男を好きになることに、何らとまどいはなかった。
だが…大野さんはどうだろう。
もし、俺の想いに気づいたら、引かないだろうか。
それを思うと…動けない。
はぁ…と、何度目かのため息をつく。
コンコン
その時、部屋の扉がなった。
俺は一気に憂鬱な気分になった。
俺がこんなにも鬱々とした気分になってるもうひとつの理由は。
「潤…?入るぞ」
「……うん」
嫌だっつっても入るくせに。
かつて大好きだったが、今やわずわらしくて仕方のない兄貴の存在。