第4章 夕虹
誰かを思って、こんなに胸が苦しくなるのは、覚えがある。
その人の笑顔がみたくて。
声が聞きたくて。
…そばにいたくて。
この思いの正体を俺は知ってる。
恋…だ。
ずっとずっと恋い焦がれていた実の兄への思いに、ようやくピリオドがうてたところなのに、こうも早く新たな気持ちに気づいてしまうなんて思わなかった。
…大野さん……
目を閉じて、少し茶色い柔らかそうな髪を思い出す。
ふにゃりと笑う優しい瞳とか。
俺を気遣う落ち着いた声音とか。
…Tシャツ一枚でいた色っぽい足のラインとか。
思い出すだけでドキドキするんだ。
あの日。
最後に泊めてもらった日。
俺は大野さんのベッドで寝た。
正確には、一緒に寝た。
床で寝ようとした俺に、一緒にベッドで眠ることを大野さんに提案され、俺は別に気にしないといった。
でも、こんな想いを持ってる以上、当然のことながら、すぐとなりに彼の体温を感じれる場所で眠れるわけなんてなくて。
緊張で朝まで一睡もできなかったんだ。