第4章 夕虹
俺と…似たこと。
嫌われるのを恐れて、想いに蓋をして。
友達としてそばにいること。
そうだよね。
だって…怖いもの。
拒否されたらもう立ち直れない。
俺が、雅紀さんをじっと見ていると、彼はフロントガラスの向こうに、彼の人の面影を思い起こしたような優しい瞳になった。
そして、軽く笑んだ。
「だからこそ、なんだけど。俺たちには何もなかったよ。だいたい翔ちゃんには彼女がいたし。もともと俺が入り込む余地はなかったんだ」
「…うん」
「それに…翔ちゃんは、同性同士の恋愛にあまり理解がなさそうだったからね。余計に何も言えなかった」
もしかしたら俺の想いに気づいていて、気づかぬフリをしてくれてたのかもしれないけどね…と、雅紀さんは笑う。
その笑みは儚くて、俺はなんだか泣きたくなった。
人を好きになることに、いいも悪いもないのに、と思う。
たまたま好きになったのが、その人だというだけなのに。
俺が黙っていると、雅紀さんは、空気をかえるように、少しばかりイタズラっぽく笑った。
「でもさ、二人とも、あの松本兄弟に想いを寄せてたなんて…なんだかすごい運命だね」
「う………えっ?!」
俺は目を剥いた。
なんで?
俺、自分の好きな人の名前なんか、雅紀さんに言ってないよ!
「そんなの…見てたら分かる。翔ちゃんの弟の前の智は、明らかに恋してる目だったよ」
狼狽えてる俺を見て、当たりだろ?と、雅紀さんがクスクス笑うから、俺は恥ずかしくて真っ赤になった。