第4章 夕虹
父ちゃんの命日当日は、墓参りをしたあと、二人で、父ちゃんの想い出を語りながら過ごすのが、ここ二、三年の慣例だ。
俺は、それにより、父ちゃんがどれだけ俺を大切にし、雅紀さんを愛していたかを知る。
雅紀さんも、俺が、家で過ごしていた父ちゃんのエピソードをきくのが楽しいらしくて。
墓で泣いてた雅紀さんの顔は、一日の終わりには、また太陽のような笑顔にかわってる。
俺も、なんだかホッとして、また一年頑張ろうって思える。
俺たちは、そうやって、父ちゃんの死の悲しみを、一歩一歩乗り越えてきた。
「今日は、昌宏さんの好きだったお刺身買ってるからね。夕飯はそれだよ」
「ほんと?やった」
俺は助手席で、ガッツポーズ。
刺身は俺も大好物。
雅紀さんは、微笑んで、ハンドルを切った。
雅紀さんの運転は、いつも丁寧だ。
黒のSUV…お洒落なこの車は、父ちゃんとのデートでよく使ったらしい。
俺は、クーラーの風をうけながら、ぼんやりと外を眺める。
昌宏さんと同じ顔して、ぼーっとするんだね、と雅紀さんがくすくす笑った。