第4章 夕虹
「……その…こないだ酒飲んだのばれちゃって…」
「うん」
「…しばらく外泊禁止って言われてたから…」
「そっか」
嘘だな、と思った。
松本は一切俺を見ようとしないし、なんなら声が震えてる。
きっと原因は他にある。
…でも、言いたくないなら、それでいいと思った。
外泊禁止は、酒のせい。
それも立派な理由だ。
「…今日はアルコールなんて飲むわけないし、怒られる要因はないはずだから…ごめんな。こないだは、ほんとに」
「いやっ…!大野さんのせいじゃないから!」
松本は慌てたように叫んで顔をあげた。
「……」
水分量の多い、大きな瞳。
瞬きしたら落ちるんじゃないかとさえ思う。
その潤んだ瞳が、とても綺麗だ、と思った。
俺は、そっか…と、頷き、フエィスタオルを、風呂場の棚からとってくると、氷水にジャブジャブひたして、緩く絞った。
そして、黙って俺の動きをみていた松本の横にすわり、そっとその頬にタオルをあてた。
「うち、保冷剤みたいなのないから…気休めだけどこれで冷やして」
「…え」
「少しはれてるから」
「……うん…ありがと」
松本は、こくんと頷いてそのタオルを受け取った。