第4章 夕虹
Satoshi
最悪だった。
オーダーをとったテーブルの客の、まるで値踏みしているような目が気になったが、あえて無視していたら、次に酒を運んだ時に、案の定ケツを触られた。
……まぁ、こんなことは初めてじゃない。
夜の飲み屋なんかそんなものだと思ってるし、他のバイトもそういうセクハラまがいの事をされたことがあるという。
だから、いちいち騒ぎ立てるのも無駄だと思い、さりげなく体をかわしてその場を去ろうとした。
そのときに小さく投げられた言葉に体が固まる。
「あんた、オトコとでもできんだろ?俺ともヤろう」
「…………」
裏の仕事のことをいってるのか。
どこで、そんな情報がもれるのか。
客は選んでいるというが、店の管理が、なってないんじゃないか。
不信感が募る。
でもハッタリかもしれないから下手な対応はできない。
俺は、愛想笑いをうかべ、
「何のことだか、分かりかねますが……ごゆっくりどうぞ」
とだけ、いい置いて、その場を離れた。
裏の仕事を知っているのは、店長と、副店長である長野さんと、三宅さん、あと俺のように実際にカラダを差し出してるあと二人のバイトの、計五人だけだ。
だから漏れるとしたら……客同士。
所詮、オトコを買って性欲を満たしてるようなやつらは、信用するに値しないのだろう。
俺は次にあのテーブルからオーダーが入ったら、別のやつに行ってもらおうと、三宅さんに伝えるために、カウンターに向かって歩きはじめた。
とたん、心臓がとまるほど驚いた。