第4章 夕虹
会いたい。
その一念で、俺は行動にうつすことにした。
ほんとは、大野さんに直接会いたいと言えばいい話だ。
彼なら、俺のために快く時間を作ってくれるだろう。
でも、彼を呼び出しても、今の俺のこんな気持ちで楽しく遊んだりできそうになかった。
だが……顔は見たい。
だから、店でちょっとだけ言葉をかわして、すぐ帰ろう……そう思った。
八時で、ファミレスのバイトを終えた俺は、大野さんのバイト先をさがしに繁華街にでた。
一週間ほどまえに、三宅さんと歩いた道を懸命に思い出してなぞる。
夏休みのせいなのか、学生の集団が多い。
大きな声で笑いながら、わいわいと通り行く人々の間を縫って、早足で歩く。
背があるおかげで、周りから浮くこともなく、この人混みにうまく紛れていると感じる。
こないだも思ったが、どうやら俺は、自分で思う以上に大人っぽい顔だちをしてるみたいだ。
いくつだ、といわれても、大学生だと言えば、乗りきれそうだというのは前回で学習ずみだ。
あとは堂々としてたらいい。
俺は、つんとした顔を保ちながら、油や焼き物の匂いのする飲み屋の通りを早足で通り抜けた。
やがて、ビルの一角にある店の前にたどりつく。
青く光る文字で、KING。
「ここだ……」
この扉の向こうに大野さんがいる。
俺は、ふっと息を吸い、扉をそっと開けた。