第4章 夕虹
「あ……えっと、ごめん」
『ごめんじゃねぇ。質問にこたえろ。どこだ』
「……えっと、先輩の家……」
『なんで、スマホの電源おとしてた?』
「あの……店にいたから。鳴ったらダメだと思って……」
『意味不明だな』
しどろもどろに答える俺に、兄貴は、はんと笑った。
怒ってる……
俺には分かる。
兄貴はめちゃめちゃ怒ってる。
心配させたからしょうがないけど、あのきれいな顔が能面のように冷たく固まる様を思う。
恐い……
泣きそうになりながら、それでも自分が悪いから、俺はごめんなさい、と謝った。
「心配かけてごめん……もうすぐ帰るから」
『……女のところか』
「違うよ。兄貴も会ったことあるでしょ。コンビニで出会った大野さんだよ」
『…………』
「俺が具合が悪くなっちゃったから看病してくれてたんだ」
『具合が悪いなら……迎えにいく。住所言え』
「え、住所って……」
俺は困って口ごもった。
すると、大野さんが、貸して、というように俺のスマホを指差した。