第4章 夕虹
大野さんが、シャワーを浴びる水音をききながら、ペットボトルを握りしめ、横になる。
しばらくじっとしていたら、暴れかけていたそこは、なんとかおさまり、頭痛もマシになってきていた。
大野さんの香りのするシーツに顔を寄せながら、ぼんやりと部屋の中を眺める。
小さなテレビ。小さなキッチン。
お世辞にも広いとは言い難い部屋。
大野さん一人暮らししてんだな……、と今さらながら思った。
お父さんやお母さんはどうされてるんだろう。
高校生でも一人で暮らせるってすごいよね……。
でも、考えてみたら、大野さんが一人っ子だということ以外、俺は何も彼のプライベートを知らない。
このタイミングでなら、いろいろ聞いても大丈夫かな……。
大迷惑かけちゃった手前、あまりガツガツはできないけど……。
そんなことをつらつら考えていたら、またいつのまにかウトウトしてしまったみたいだ。
次に、ふっと目を開けたら、シャワーからでた大野さんはベッドにもたれてスマホの動画サイトをみていた。
こちらに、背を向けて座ってるそのうなじは白く、長めの後ろ髪はまだ湿ってるようにみえた。
…………
声をかけようとして、気づく。
虫刺されのような跡が、襟ぐりのあいたTシャツのすきまからたくさんみえる。
かゆくないのかな。
白い肌にもったいないな。
無知な俺は、そのときは本気で、虫刺されの薬を持ってきてあげようと思っていた。