第4章 夕虹
そっか……、と大野さんは困ったように眉を下げて、俺の傍らに座った。
そして手にした水のペットボトルを俺の額に、そっとくっつけた。
「………つめた…」
「気持ちいい?これあげるから飲んで。今日は水分いっばいとらなきゃダメだよ」
「……はい」
うずくまった格好のまま、それを受けとる。
「頭痛がマシになったら早めに飲んで。俺、ちょっとシャワー浴びてくるから」
言いながら、自分の首筋に触れて見せる。
「汗でべたべたで気持ち悪くてさ……松本もあとで入る?」
いやいや……
そこまで迷惑かけるわけにはいかない……けど。
確かに体は気持ち悪かった。
この部屋にはクーラーがないみたいで、開いた窓から時々風が入ってくるものの……暑いっちゃ……暑い。
それでも、さすがになぁ……と、思い、首を振った。
「いや……俺は……」
断りかけたら、かまわないよ、と言って、大野さんの指が俺の頬に触れた。
「下着とかなら、使ってないやつあげるよ。昨日だいぶ吐いたから、脂汗とかで体気持ち悪いだろ……?」
少し冷たい指先が、そのまま俺の額に滑る。
その感覚にドキリとしつつ、え?と、思い、顔をあげた。
「え……俺、吐いた?」
「うん。いっぱい。ちょっと心配するくらい」
「……すみません」
しゅんとしてうつむくと、大野さんは小さく笑ったみたいだった。
「飲んだこともないアルコールで、何かあったらどうしようと思ってたから。この程度ですんでよかったよ」
……当分、俺は大野さんに頭があがらない、と思った。