第4章 夕虹
見たこともないくらい無防備な顔だった。
ころりと横になり、子供のようにすうすうと寝息をたてる様は、いつもの大野さんの可愛らしさを倍増させてる。
……なのに、すらりとのびる足は、なんだかエロティック。
当然下着は身につけているのだろうけど、Tシャツからみえる生足は、まるで何もはいてないみたいにみえて、ちょっとヤバイ。
いろいろドキドキしそうで、俺はあえてそちらに目を向けないようにしながら、大野さんの顔をみつめた。
メガネをかけてないせいで、睫毛の長さが際立ってる。
高い鼻はすっとしていて、唇は花びらみたいだ。
肌も……綺麗だな
こんな風にこの人の顔をじっとみるのは初めてかも。
芸術的に美しい顔を眺めてると、何かの気配を感じたのか、大野さんが、ぼんやりと目を開けた。
その視線がゆっくりと俺を捉える。
「お……おはようございます……」
「ああ……おはよ……大丈夫?」
大野さんは欠伸を噛み殺しながら、俺をじっと見上げてきた。
「えっと……」
大丈夫か聞かれるってことは、なんか俺がやらかしたんだろうね。
いや、まずどうしてここに俺がいるのかだよね??
これどうみても大野さんに迷惑をかけたパターンだよね?
どうしよう……
しかしながら、なにひとつ覚えてない俺は、しゅんとしてベッドに正座した。
「すみません……なにも覚えてなくて……ただただ頭が痛いです」
「あはは……そっか……そうだよね」
起き上がった大野さんは、笑って髪をかきあげた。