• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹




……ほんの一年少し前のことなのに、遠い遠い昔のことのように思える。


過去に想いをめぐらしていた俺は、はぁ……とため息をついて足元の砂を見つめた。


智の家を飛び出したあと。
素直に自宅に帰る気になれなくて、俺は駅までの道のりの途中にある小さな公園のベンチにいた。

智には無理矢理、金をもたされ、タクシーで帰れ、と約束させられたけど、この時間に帰ったら逆に親が心配するじゃん……と、自分に言い訳をつくったうえでだ。

足をそっと動かすと、夜の静寂のなか、砂がサク……と、思いのほか大きな音をたて、重苦しいほどに孤独を思い知らされる。


サト……



思い出されるのは、智との再会の頃。
そして、疑問もなく抱き合っていた日々。

事あるごとに智の家に入り浸るようになった俺は、そのたびに二人でくっついて眠っていた。
時に、自然と唇をあわせることもあったが、いやらしいものではなく……すぺて温もりをわけあうだけの、本能的な行為であったように思う。
少なくともそのときは。


ふと、ぐにゃりと自分のスニーカーがゆがんだ。
キン……と、耳鳴りがして……あれ、と思ったら、そのままポタポタ涙がおちてきた。


「……ぅっ……くっ……」


俺は声を押し殺すように、口に腕をあてた。
嗚咽がとまらない。

涙が、次から次へと溢れてくる。


「……ぅ……えっ」


俺は体を折り、小さくなって泣いた。


失恋しちゃったな……と、思いながら、今までの人生で一番泣いた。
/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp