第4章 夕虹
俺は、振り回されてるなぁ、と自覚したうえで、智の無垢な寝顔を見つめた。
……こんな童顔で、18だなんて、よく誤魔化せたよね。
智はあっという間に深い眠りに入ったみたいで、健やかな寝息が聞こえる。
智の話が本当ならば、ついさっきまで、客の相手をしていたはずだ。
体についたアザを思い出す。
疲れきっているのだろう。
オトコを相手にすることが、どれだけの負担になるのかとか、そういう詳しいことは、俺にはちょっとわからない。
ただ、本来は受け入れる器官じゃないところに、無理を強いているのだろう、ということだけは、ぼんやり想像できる。
……せっかく、食べれるようになって、健康な体になったのにね。
俺は、そっと手を伸ばし、智の頭を撫でた。
まだ少し湿ってる髪の毛は、ところどころ束になってる。
指ですいてやると、智は気持ち良さそうな顔をしてすり寄ってきた。
……ふふ。猫みたい。
この細いカラダを武器にして、智は、俺も知らない外の世界に戦いに行ったのだ、と思った。
それが例え金のためであっても、智にはなにか目標ができたんだろうな、と思った。
俺は……応援するだけだね。
智の柔らかな髪の毛をそっと触ってると、そのうちに、智のすらりとのびた足が俺に絡まってきた。