第4章 夕虹
「……これは彼女じゃないよ」
智は、ベッドに放り投げてあった黒いボクサーパンツを手にとり、もそもそはいて……ポツリと言った。
そのキスマークは、彼女じゃないっての?
特定にお付き合いしてる人じゃないの?
……じゃあ、もしかして……
「……フーゾクでも行ってきたの?」
いかがわしい店に行ってきたのかな……、と、恐る恐る聞いてみる。
智も男だもんな。
溜まるものも溜まる。
俺は気にしないよ、というメッセージをこめて、なるたけさらりと言ったら、智はベッドの下のプラスチックの小さなボックスから、色褪せた青いTシャツを引っ張り出しながら、違うよ、と否定した。
「……そんなん。行ってない」
スポッと頭をTシャツにいれて、智はなんでもないように続けた。
「今行ってるバイト先で、すすめられた。高い金になるから引き受けたんだ」
「……すすめられた?」
「売り」
「……ウリ」
小さく繰り返す。
ウリ……瓜……売り……。
「……え?」
「ちなみに女じゃなくて、相手はオトコだよ」
智は、ベッドに座って、ふわりと笑った。
なんだか、泣きそうな顔にみえて、ドキリとした。