第4章 夕虹
シャワーからでてきた智は、いくらかいつもの智に戻ったようだった。
さっきまで香ってたソープの香りは、いつもの智のシャンプーの香りにかわっていて、どことなく安心できた。
だけど……
「ふー……気持ちよかった。」
スポーツタオルで、無造作に髪の毛をふきあげながらでてきた智は、なんと真っ裸で。
俺の方が目のやり場に困る。
無邪気というかなんというか。
「パンツくらいはいたら?」
「……暑いじゃん」
俺のやんわりとした指摘は、軽く一蹴された。
「……そうだけど」
見ないようにしようとしても目につくよ。
背中のキスマークだけでなく、胸のあたりや、鎖骨あたりも、鬱血した跡が見受けられる。
もはや、なにをしてきたか一目瞭然だった。
「……どしたの?」
俺が黙ったから、智は怪訝な顔をして、俺を見つめてきた。
俺は何て言ったらいいのかわからず、ううん、と首を振り、肩をすくめてみせた。
「激しい彼女みたいだね?」
「……どーゆー意味?」
「や……気を付けないとTシャツの衿からみえるよ?」
キスマーク、と教えてやったら、智は自分の体を、じっと見つめた。
そして、困ったように眉をさげた。