第4章 夕虹
幼馴染みのサトちゃんの存在は、母親も承知していて、彼の家に泊まりに行く、と申告したら、特に問題なく許可された。
だが、一人暮らしとはさすがに思っていないようで、先方に失礼のないように、と念をおされ、洋菓子でも持参しなさい、と現金を渡された。
サトちゃんが、親戚の家にいる、と信じてるからだ。
俺は千円札二枚を握り、ほくほくだった。
ちょうどいい。
明日はこの金でサトと、ファミレスでも行こう。
ご機嫌な俺は、今晩、夕食がわりに食べるサンドイッチと、コーラ一本をコンビニで買い、智の部屋の前に立った。
部屋の前にある水道メーターのボックスをあけ、下にはりつけてある鍵を手にとる。
不用心じゃない?と、咎めたら、別にとるものもないし、現金もないし、と、さらっとかわされた。
この方が、ニノが思い立って遊びにきてくれたときに、もしも俺がいなくても、中で待つことができるでしょ、と。
……まぁ……ねぇ。
恋人でもあるまいし、合鍵をあずかるのもおかしいから、別にいいっちゃいいんだけど。
主のいない部屋にそっと足を踏み入れた。
もうすっかり慣れ親しんだそこに、勝手に荷物をおき、勝手にちいさな座布団に座る。
今日は智はバイトの日。
夜のシフトまで入ってるようで、帰りはいつも遅いという。
俺が今日来ることは言ってない。
おかえり、と言ってやったらビックリするかな。
少しワクワクしながら、俺は携帯のゲームを立ち上げた。