第4章 夕虹
智の部屋に、少しずつ俺のものが増えてきた。
茶碗、お箸、マグカップ。
週に何回か、智の食事にあわせて俺も食う。
だけど、智の家のものを食いつぶしたら申し訳ないから、俺も家から米や、缶詰めをもってゆく。
そうやって、せっせと智に飯を食わせる運動を、俺個人的に頑張った結果、病的なほど、白く細かった智は、健康的な男子高校生のレベルにまで持ち直した……と、思う。
俺が行かない日は、相変わらず食わない日もあるみたいだが、一方でその雅紀さんとやらの家に行ってたりもするみたいだし。
当初、何もなかったキッチンには、ラーメン用のちいさな鍋と、目玉焼きが焼けるくらいのちいさなフライパンが増えた。
智の笑顔も、儚げな印象から、可愛らしい笑顔にかわっていった気がする。
やっぱ、食うって大事だよね。
純粋によかったな、と、俺は満足だった。
そんなある日。
智の部屋で二人でプリンを食べながら、お笑い番組をみていたら、智がなんでもないように言った。
「俺さ……バイト始めた」
「へぇ……なんの?」
「飲食店。帰りは夜遅いから、週末はいないよ」
「そう。わかった。頑張って」
「まぁ……ニノが来たいなら来てもいいけど」
「(笑)なにそれ。サトの帰り遅いんでしょ?」
「うん……でも泊まってくれてもいいしさ」
「……」
寂しいのかな、と思った。