第4章 夕虹
俺は、なんだか帰るに帰れず、キッチンに目を向けた。
ピカピカな、小さい炊飯器が、三段ボックスに押し込まれてるのをみつける。
……使った形跡なさそうなんだよなぁ。
「……サト……ご飯炊いたことあんの?」
「……最近はあんまり」
「つか、米あんの?」
「米はあるよ……多分」
「多分?」
「うん……雅紀さんが前に持ってきてくれたのが……あのへんに……ほら」
智は振り向き、部屋のすみにあるダンボールからのぞく封のあいてない米を、指差した。
「…………」
雅紀さんとは、誰だ、と言う疑問もあるが、まずは智に飯を食わさないと、と思った。
この人は食べることに興味ないんだ……危険だよ……
そしてそれは、この日から俺の使命になる。
この日は、腹が減った、とわざと駄々をこねて、智に飯をたいてもらい、一緒に食べた。
おかずは、味海苔。
それでも、きちんと食べてる智を見たら安心した。
三日後、俺はイチゴオーレと、家にあったストック品の佃煮や、冷凍してある明太子なんかを持っていって、それをおかずにして、一緒に飯を食べた。
二日後、俺は自分の好きな菓子パンを買っていって、智と半分こして食べた。
「……なんか。ニノといると常になんか食べてるなぁ……俺」
楽しげに智が呟くから、俺は、そうかな、ととぼけておいた。
誰かと一緒に食ったらうまいだろ?と、言うと、智は、うん、と頷いた。