第4章 夕虹
ベッドとテレビのほかは何もない部屋だ。
あいてる床に腰をおろし、俺が持ってきたお菓子をつまみながら、二人で長い時間話し込んだ。
離れていた時間を埋めるように、いろんな話をした。
やがて、部屋が薄暗くなってきたのに気づいた智が、座ったまま長い紐をひっぱって、電気をつけた。
「……すごく、長いね」
「これ?起き上がらなくても電気つけたり消したりできるでしょ」
「……ものぐさだなぁ」
「へへへ」
あきれて笑いながら、腕時計に目をおとすと、けっこうな時間だった。
夕飯には、帰る、と母親に告げてきたし、智のうちから俺の家までは、電車で二駅ほど離れてるのもあって、名残惜しいけど、そろそろ帰ろうかな、と思い、……ふと思う。
……でも、この人、一人でちゃんと食ってんのかな。
チラリと、キッチンをみても、なんだか使ってる形跡がないのだ。
ちいさなヤカンが、はしっこにおいてあるけど。
「サトさぁ……飯ってつくれんの?」
「え……あんまり」
「毎日何食ってんの?」
「うーん……まぁテキトー」
「……今日は、このあと何食うの?」
「……別に。まぁ、菓子食ったし腹はそんなにすいてないから……食わねぇかな」
言って、ホニャ……と笑うから、俺は頭を抱えたくなった。
「……細いと言われる俺だって、もう少し何か食うぞ」
ポテチ、五、六枚で腹がいっぱいって、マジで仙人になってんじゃねーの??
俺がそういうと、
「ん……正直、一人だと食うの忘れんの。でも、今日、ニノが来てくれて、久々にポテチなんて食った。ありがと」
パリ……っともう一枚かじりながら、智は、笑った。