第4章 夕虹
Nino
スキンシップという名の愛を、この人が欲してると気がついたのは、遊びにいった俺に智が泊まるように求めてきた時だ。
智が高校二年、俺が中学三年の頃だった。
幼馴染みの智が、父親を事故で亡くしたあと…だいぶたってから、いろんな事情で一人でアパートを借りて住むようになったと聞かされた時は驚いた。
その事情は、後々に知ることになるのだけど、でもそのときの俺は、何があろうと最後まで智の味方でいようと思っていたし、力になりたいと思っていたから、どんな背景があろうと関係ないと思ってた。
電話で時々連絡をとりあって。
智の話を聞いて、俺の話をして。
無事に高校生活をしてると聞いて喜びあって……
でも、会いたい、と水を向けても、なんとなくかわされるから、二人で会うことは我慢した。
いろんな事情や想いがあるんだろうな、と思ったから……待とうと思った。
そのうちに、その日は訪れた。
智が、おいでよ、と言ってくれて。
俺は一も二もなく飛び付いた。
顔を見るのは何年ぶりだろうか。
ドキドキしながら、スマホで聞いてた住所を頼りに到着したそこは、智が父親と二人で暮らしてたアパートより、さらに狭くて小さな1Kのアパート。
玄関をあけたら、全部が見渡せるようなその場所は、悲しいまでに空虚な場所で。
きれい好きなひとだから、ゴミは見当たらなかったけど、ゴミが出ようもないくらい、何もない部屋だった。
『いらっしゃい……久しぶり』
あの人はほんとに嬉しそうに笑って、俺を迎えいれてくれた。
白い肌はそのままに、痩せてシャープになった顎にドキリとする。
育ち盛りなくせして、仙人のような生活をしてるんじゃないかと思うほど。
持ってきたジュースのペットボトルを冷やそうと、『開けるよ』と、ことわって開けた小さな冷蔵庫の中身は……空だった。