第4章 夕虹
うつむいて脇をすり抜けようとしていくニノの腕を思わず掴んだ。
「待てって……」
それはがっしりした松本と違い、びっくりするほど華奢な腕だった。
こいつ、こんなに細かったっけ……
そう思いながら、頭のどこかで、この状況で呼び止めるのは、どう考えてもおかしいと感じてた。
自分は、多分、とてもひどい事をしてる。
だけど、こんな真夜中にニノを一人で帰すのが、どうしても嫌だった。
案の定、ニノは信じられないという顔をして、俺を見つめた。
「……ひきとめんの?……最低」
「だって、ここから歩いてなんか、帰れねぇじゃん……」
「わかってるよ、そんなこと」
ニノが舌打ちした。
「でも、サトは、こいつのこと好きなんでしょ?そこが根っこにある以上、ここにいること自体が俺には辛いんだ……それっくらいわかんねぇのかよ?!」
たまらずに怒鳴ったニノの瞳には、みるみる涙が浮かび上がり、一本、二本、と筋をつくる。
「…………」
泣いてるニノを見つめる、
ニノの言葉が心に刺さる。
俺は、黙ってその場に突っ立ったまま動けなかった。