第4章 夕虹
「だいじょーぶかよー……」
心配そうな三宅さんの声がする。
俺は小さな個室の扉を遠慮がちにたたいた。
「三宅さん……?大野です」
すると、しばらくして内開きの扉が小さく開いて、三宅さんのホッとしたような顔がのぞいた。
いつも、きっちり着てるバーテンの制服を腕まくりしてる。
松本を介抱してくれていたのだろう。
「……すみません。友人がご迷惑をおかけして……代わります」
「ごめん、潤、酒弱いの知らなくて。俺が連れてきちゃったんだ」
……潤。
もうファーストネームで呼ばせてんのか。
ちょっと、もやもやしながら、いえ……とつぶやき、
「……俺も、あっちにいくのは急だったので」
俺がいたら飲ませてなんかない、と、いう気持ちを押さえながら、俺はペコリと会釈をした。
「なんかさー……潤、気持ち悪いって座り込んだままなんだ。気分がマシになったら、休憩室貸すから言って?」
「すみません。ありがとうございます」
三宅さんは、潤~大野とかわるね、と、扉のなかに声をかけ、身支度を整えながら、じゃあよろしく、と店内に戻って行く。
俺は、そっと個室に入った。
松本が、個室の壁に寄りかかりながらうずくまっていた。