第4章 夕虹
「……だからって……」
ここに連れてくるか??
俺は二の句が告げずに、黙りこむ。
その姿が、俺の機嫌が悪くなったと見えたみたいで。
「……健はさ、単純に大野と仲がいい松本くんに興味があっただけみたいだよ」
店内にいるバイトに、出来上がったカクテルを運ばせてから、長野さんはこちらに向き直った。
その優しい瞳は、友達をつぶしたことをそんなに怒らないでやって、と言ってるみたいだった。
「…………そうですか」
俺は、この店の人間全員に、二十歳だといって年齢をごまかしてる。
だから一緒にいた松本を同級生とみなしてしまったのは、しょうがないとは思う。
あいつ大人っぽいしな。
まさか高校生だとは思わなかったのだろう。
問題は、松本が、俺が年齢詐称してることに気づいてしまってるかどうかだ。
ってかバレただろうなぁ……
こんなとこでバイトなんてありえねぇもんなぁ……
どうやって説明しようか、と、半分あきらめながら、俺は周りを見渡し、つぶれてるという張本人を探した。
だが、どこにもそれらしき人物は見当たらない。
「……松本は?」
すると、長野さんは親指で店の奥を差した。
「さっき起きて、気持ち悪いって、トイレにこもってる。健が様子を見に行ったけど……」
言いながら、長野さんは首をひねった。
「でも、そんなに飲んでないよ?あの子酒弱いのかな?もしかして」
「何飲んだんですか」
「カンパリソーダと、ハイボール」
…………充分だっての!
俺は苛立ちをかくしながら、トイレに向かった。