第4章 夕虹
勝手知ったる重厚な店の扉を、そっとあけた。
するとほの暗い部屋の中から、音量をしぼったジャズが聞こえてくる。
……本来、未成年が来るべきではない場所。
バイト中のウェイターの制服でしか過ごしたことのない店内に、思いきって私服のままするりとすべりこんだ。
入り口近くにいたバイト仲間が、あれ、という顔をしてみせるけど、片手をあげてそれを制する。
そのまま一際明るいカウンターをめざしてゆくと、俺の姿に気づいたバーテンダーの長野さんが、苦笑いした。
「……ごめんな、疲れてんのに」
俺は、早く真相を知りたくて、いえ、とぶっきらぼうにぶったぎったあと、眉をひそめて問いただした。
「……いったいどういうことなんですか」
長野さんは、オーダーが入ってるらしきカクテルを作りながら、うーん……と、首をひねる。
「健がさ、松本くんと偶然出会ったらしいんだけど、お友だちになりたいからって、お前を餌に連れてきたんだよ」
「意味がわかんないんですけど」
「松本くんはおまえに会いたかったみたいだよ?」