第4章 夕虹
俺たちのような裏のバイトの担当は、行為後、遅くとも明日のチェックアウト前にここを去ればよいとされてる。
つまり泊まっても泊まらなくてもよいのだ。
いつもは、家に帰るけれど……今日は体も痛いし、ここで休んで帰ってやろうか。
そんなことを思いながら、ベッドから起き上がることもなく、片手で『KING』に、コールした。
『はい』
店長の低い声。
ディスプレイに俺の名前はでているだろうけれど、一応名乗る。
「……大野です」
『おお……お疲れさん』
「終わりました……今日は少し疲れたのでここで休んで帰ります」
そういって切ろうとしたら、ああ、ちょっと待て、と、呼び止められる。
そして、電話口の店長から、告げられた名前に、俺は思わずベッドから体を起こした。
「今……誰って」
『だから。松本潤って子だよ。おまえの友達か?』
どうして、ここにあいつの名前がでてくるのか。
俺は、混乱しながら、
「そうですけど……」
『お前がバイトに来ると思って、待ってるあいだにつぶれてしまったみたいでな……どうやっても起きない』
…………は?!
俺はびっくりしすぎて、思わずベッドの上に正座してしまった。
つぶれた?!
『疲れてるところすまないが、ちょっとこっちに来てくれないか』
「待ってください。あいつ酔ってるんですか」
『かなりな』
「飲ませたんですか?!」
『……そのへんの過程は三宅に聞いてくれ』
俺は、スマホを乱暴に切り、浴室に飛び込んだ。
どうして松本がKINGに来てるんだ。
どうして飲んでるんだ……!