第4章 夕虹
乾杯だ、といわれて、飲めません、と、断るのもどうかと思われた。
まして、実は高校生なんです、なんて言えやしない。
迷った末に、俺は、グラスを持ち、三宅さんと少しあわせる仕草をして、ちょっとだけ口をつけてみた。
舌先で、少し含んでみる。
初めて飲んだ酒は、甘くて……ジュースみたいだと思った。
「俺ねぇ、三宅健っていうの。『KING』でバーテンダーやってんの」
ふふっと笑って、三宅さんは、手にしてるグラスの中身をくぴっとあおった。
俺も、再びちょっとだけグラスを傾けながら、自己紹介する。
「松本潤っていいます」
「学生さん?」
「……はい」
「どこの大学?」
……うわ、きた。
どうしよう、と思って、
「えっと……」
兄貴が卒業した大学名を告げたら、三宅さんは、げ、秀才じゃん!!と、目を丸くした。
「大野とは?どんな関係なの?」
「先輩後輩というか…高校の…」
「先輩後輩?……大野二十歳だろ。潤は?」
しまった。
「あ……同じ……です。あの……部活……に入った順番で先輩後輩決まるので」
「ふうん……」
ダメだ。ボロがでる。
俺は、あわてて話題をかえた。
「三宅さんは……いくつなんですか」
「いくつにみえる?」
「25……くらい?」
「あー!おしい!」
「6?」
「ふふ……今年30だよ」
「……嘘でしょ?!」
「よく言われる(笑)」
三宅さんは、可愛らしい顔で、てへっとおどけてみせた。