第4章 夕虹
五時にオープンしたばかりだから、と、ほの暗い店内は、俺の他に人はいなかった。
ゆっくりしてってね、と、カウンターの端に通され、ちょっと着替えてくるから、と三宅さんはどこかに消えた。
「…………」
いや、ここ……もしかしなくても……
ぽつんと残された俺は、店内をおどおどと見渡した。
テレビでしかみたことない、いわゆるバーという店の内装をしてる。
カウンターの向こうには、リキュールやらなんやらの酒の瓶がズラリとならんでて。
どこをどう見ても大人しか来ちゃいけないとこだ。
……やばい。
こんなとこ来たのバレたら、俺、兄貴に怒られる……。
「三宅のご友人様は、ここは初めてですよね?」
カウンターのなかにいる、いわゆるバーテンダーの人が俺に話しかけてきて、ドキリとしてあわてて背筋をのばした。
「……はい」
「なにか作りましょうか。それともなにか軽食でも?」
なにか……って、アルコールだよな、この場合。
だめだめ。
俺は、愛想笑いを浮かべて、腹をさすってみせた。
「あ……お腹すいてる……かな」
「ははっ……そうですね、まだ早い時間だ。こちらメニューです。決まりましたらお声がけください」
小さな冊子を渡される。
そこにはオムライスや、サンドイッチなどの軽食の名前の他に、ズラリと酒の名前が書いてあった。