第4章 夕虹
三宅さんの話だと、飯を食いにいこうと誘っても、連絡先を交換しようと持ちかけても、のらりくらりとかわされるらしい。
単純に、大野さんと仲良くしたいだけだというが……。
「警戒されてんのかもなぁ。俺、こんなだし」
ぼりぼりと頬をかき、呟いているが、そんなに寂しそうにはみえないのは、この飄々とした雰囲気ゆえなのか。
確かに……大野さんは人付き合いには慎重な部分があるようにみえる。
きっと、心を開くまで、時間をかけるタイプだと思う。
だから、三宅さんが嫌とかじゃないんだろうけどな。
俺も知り合ってから、ここまで大分たつもんなぁ。
「俺は……三宅さんは……一緒にいたら楽しい人だと思います」
フォローにもなんにもなってない言葉をかけると、三宅さんは、びっくりしたように目を見開いてから、ありがと、とふわっと笑った。
そのうちに見覚えのある通りにでた。
ここは……
宵の口だからか、繁華街特有のギラギラした照明はまだないが。
忘れもしない。
大野さんを初めて街中でみかけた場所。
彼が背の高いモデルみたいな男と二人で歩いていた場所。
兄貴が、そういう店ばかりが集まっているといっていたその場所の一画のビルの前で、三宅さんは立ち止まった。
「ここだよ」
「…………」
店に掲げられる看板には。
『KING』
青く光る文字でそう書いてあった。