第4章 夕虹
三宅さんは、ゆっくりと飯を食い、ドリンクバーで紅茶を二杯飲んで、俺のバイトが終わるまで待ってくれていた。
「すみません、お待たせしました」
急いで身支度をし、腕時計をはめながら、早足で三宅さんのそばにいくと、彼は水を一口のんで、にっこり笑い、
「じゃ、行こっか」
と、おもむろに立ち上がった。
店をでると、三宅さんはスタスタと大通りの方にでてゆく。
歩く速度は速い。
俺は、意識的に早歩きをしながら、その小柄な肩に並ぶ。
俺の勤めるバイト先のファミレスは、わりと駅に近い位置にあるが、三宅さんの目的地は、道路を隔てた反対側の繁華街にあるようだ。
意外と離れてないのかな、と思った。
俺は、上機嫌で隣を歩く三宅さんを見つめる。
不思議な人だ。
この人はとても懐こい人物なのだと思う。
コーヒーショップで出会っただけの俺に声をかけるのはともかくとしても、自分のバイト先にまで呼ぶというのは、なかなかしないだろう。
すると、俺の疑問を読んだかのようなタイミングで、三宅さんは朗らかに言った。
「俺さー。君にすごい興味あったんだよね」
「……どうしてですか」
小柄な彼は、華奢で、色白で女の子のようだ。
その三宅さんは、小首をかしげ興味津々といった様子で、俺に顔を近づけてくる。
「だってさ。あの大野のダチだぜ?人嫌いの大野の。断然興味あるでしょ!」
「……人嫌い?」
「大野ってさ。一匹狼じゃん?人と群れることしないからさ」
いっつもつれないもん、と、三宅さんは肩をすくめた。