第4章 夕虹
今日のシフトは夕方までだ。
客の流れも、比較的おだやかだし、このまま平和にあがるつもりだったが。
ピンポーンという軽快なベルの音とともに入り口の自動ドアが開いたのに気づき、
「いらっしゃいませ」
元気に挨拶をしながら、振り返った。
「……あれ?」
「あ……」
そこには、いつだったかコーヒーショップで出会った大野さんのバイト仲間の人が立っていた。
名前は確か……
「……こんにちは」
「わぁ、すごい偶然。確か……大野といた人だよね」
「はい」
三宅さん……だったっけ。
この間あったときより、もう少し髪の毛の色があかるくなってる。
全然傷んでないサラサラの髪。
襟ぐりのおおきくあいたシャツをはおり、ベージュのパンツ姿の彼は、華奢なせいで、露出した場所が、やたら色っぽい。
忘れもしない、この人に出会ったとたん、大野さんの様子がおかしくなったんだ。
なんとなく、触れちゃいけない気がして、今日までスルーしてきてるけれど。
「なに?ここでバイトしてんの?」
気さくに話しかけてくるこの人が、悪い人には見えない俺は、あのとき感じた戸惑いの気持ちを思い出した。
まるで、大野さんは、俺と三宅さんで話をさせまいとしてる感覚がしたんだよなぁ……。
俺は、窓際の空いた席に、三宅さんを案内しながら、再び、なんでだったんだろう?と、思いをめぐらせた。
三宅さんは、ニコニコしながら、なににしよっかなーなんて、メニューを手にしてる。
その横顔は、無邪気で、きっと俺よりだいぶ上の人なんだろうけれど、なんだか可愛らしい人だなって思った。