第4章 夕虹
Jun
大野さんと遊ぶ資金をためるために、俺はバイトを始めた。
母さんに、夏休みだけよ、と念をおされ、選んだのはファミリーレストラン。
大野さんが、飲職業のバイトをこっそりしてるっていうのを聞いていたのもあって、少しでも同じようなことをして近づきたい、と思ったからだ。
最初は緊張のあまり、声がひっくり返ったり、震えながら料理を運んだりしてたけど、二週間もすれば、だいぶ慣れて。
おばちゃんたちグループのひやかしをあしらえるほどにまでなっていた。
「潤が来てから、女性客めちゃめちゃ増えたなぁ……」
店長が、大きなパフェをカウンターに並べながら、にやりと笑う。
「おまえさ、夏休み終わっても来ない?」
「……夏休みの間だけって、親と約束しちゃって……」
「えーもったいない。時間考えてやるから、こっそり来いよ」
「考えときます……」
苦笑いして、大きなチョコレートパフェと、抹茶あずきパフェを運ぶ。
「おまたせしました。チョコレートパフェの方」
女子高生が、嬉しそうに手をあげた。
もう一人の方に抹茶のパフェをおいていると、その二人組が、スマホをにぎりしめて、
「ねぇ、写真とってもいいですか?」
パフェはそっちのけで、食い気味にたずねてきた。
どうやら、俺の写真が欲しいということらしい。
バイトを始めてから、何回かそういうことを言われてる。
最初は戸惑ったものの、
「……すみません、それはちょっと……」
このようなときの断り方も覚えてきた。