第4章 夕虹
自分も似たような体験をしたことを思い出す。
裏バイトで、クスリを使われて、動けなくなったとき。
よれよれの俺を、ニノが全部面倒をみてくれた。
水を飲ませてくれて、食料を買ってきてくれて。
優しく付き添ってくれた。
……まぁ抱かれちゃったけど。
そこで考える。
俺は……ニノにときめいた?
俺が、考え込んでる風なのを気にしながら、雅紀さんは、にこりとした。
「まぁ……昌宏さんは、俺の推しに負けた感じ?」
「……男同士なのは?父ちゃんは気にしなかったの?」
だって、父ちゃんは、ノンケだったはず。
いくら母ちゃんで女に懲りたっていったって……そうそう性的嗜好までかわるもの……?
「そこは……今となってはわからないけど。よく言われたのは、俺だから好きになったって。」
雅紀さんは幸せそうに微笑み、手にしていたスプーン
を置いた。
「相葉雅紀だから好きだって。言ってくれたよ……?」
「…………」
俺は、父ちゃんのキリリとした顔を思い出した。
鋭い瞳だから、普通にしてても、怒ってる?なんてよく言われる人だった。
でも……そういえば、ある時期から、とても柔らかな笑顔をみせていた気がする。
給料でもあがったのかな?なんて、思ってたけど……違ったんだね。
愛する人ができてたんだ。