第4章 夕虹
再び、いろんな店をのぞきながら歩いた。
いつもなら興味もなく通りすぎる靴屋。
入ったこともない洋服屋。
松本が足をとめるたびに、一緒にそこの店内を一周する。
「あ、これ大野さんに似合いそう」
松本が手に取る服は、俺が着たこともないようなものだ。
「……穴が開いてるジーンズなんて、寒くないの?」
「そういうデザインなんだよ」
松本はくすくす笑って、俺、これがほしいなぁ……なんて、淡いパープルのTシャツを体にあててる。
洋服は興味ないから……と、いや、正確には買う金がなかったから、と、ずっと同じ服を着てた俺に、一揃え買ってくれたのは雅紀さん。
お下がりもいくつかもらって、不自由なんてなかったから、新しい洋服なんて欲しいとも思わなかったけど。
松本の持ってるTシャツは洒落てて素敵だな、と思った。
「それ、いいね」
「ほんと?」
価格も驚くほどリーズナブル。
色ちがいは……ブルーと、白と、黒があるみたいだ。
ふーん……と、棚をみていたら、松本が、いいこと思い付いた、というように目を輝かせた。
「ねぇ、大野さん。これ買おうよ。記念に」
「……え?」
「お揃いなんて、女みたいで嫌?」
「……いや、そんなこと……」
「じゃあ、決まり」
サイズは?といいながら、物色する松本を好ましく思う。
おしつけがましくなく、それでいて、するりと心に入ってくる。
さっきまで、しずんでいた気持ちが、嘘のように温かくなった。