第4章 夕虹
まぁ、そういわずに、と勧め続けてると、しばらく笑ってた大野さんは、
「じゃ、最後」
と、ゆっくり顔を近づけてきた。
え?と、思ってたら、てっきりスプーンを使うと思ってた大野さんが、俺の手にあるソフトクリームをペロッと舐めた。
………………ひいっ!!
固まった俺から、そっと離れた大野さんはいたずらっぽく笑う。
さっきの流れでからかわれてるんだろうけれど……心臓に悪いったらない。
「ん、ごちそうさま」
「あ、ああ、うん!」
……うわうわうわ。
鼓動が早い。
俺は焦りながら残りのソフトクリームに、乱暴にかぶりついた。
大野さんがあきれたように言う。
「ゆっくり食べなよ」
「え……だってうまいもん」
返しながら、さっきの大野さんを頭で反芻した。
……すげーもんみた。
今の一瞬の表情も、ちらりとみえた舌の真っ赤な色も……エロすぎる。
というかこんな風に思ってしまう俺……マジでやばいかも。
ドキドキしながらも、さっきまで、ぼんやりしてた大野さんがちょっと楽しそうに笑ってくれるのが、なんだか嬉しくて、俺は、タワー並みのソフトクリームを作ってくれたおばちゃんに、ひそかに感謝した。