第4章 夕虹
「……大丈夫?」
「……あぁ……うん……ごほっ」
もう……冗談でもそんなこと言わないでほしい……
俺がこんなに反応してドキドキしてるのに、大野さんは、そんなにウケた?と、コロコロ笑ってる。
トントンと背中を叩いてくれる衝撃が心地よい。
大野さんの手のひらが温かい。
……ったく、罪作りってこういうこと言うんだよな。
俺は、焦る心を誤魔化すために、ペロッと、直にソフトクリームを舐めた。
もごもごと口を動かしながら考える。
俺……どうしちまったんだろ。
こんなに大野さんのことが気になるなんて普通じゃないよな。
恋人のワードだけでこんなに狼狽えるなんて思ってなかった。
だけど、この少し苦しくて、高揚する気持ちは覚えがある。
『潤』
俺の脳裏に、皮肉そうに笑う兄貴の顔が浮かんだ。
なんでもできる兄貴。
彼は俺にとってのスーパーヒーローだった。
大切で、大好きで……
そうだ……かつて、兄貴を思っていた感情と似てるんだ。
笑顔をみたらうれしくて。声をきけたらうれしくて。
共に過ごす時間が何よりも大切で……
「松本?」
「……んあ?」
「んあ?って(笑)……俺、もういらないから食べちゃいな」
「あ!ごめん!」
思わず直に口をつけてしまったソフトクリームを凝視する。
つい、兄貴といる癖がでた。
「ごめん、このへん食べてねーから」
「(笑)……いいよ、もうお腹いっぱい」