第4章 夕虹
コーヒーショップを出て、ショッピングモールを歩く。
両側に立ち並ぶ店の洋服を、見るともなしに見ながら、隣を歩く大野さんに意識をもっていく。
どうみても、口数の少なくなった大野さんが気になる。
三宅さんに会ったところから、おかしくなった。
それまでは、ニコニコ穏やかに笑い、楽しそうにしてくれていたのに、いまは、なんだか心ここにあらずといった感じだ。
「大野さん」
「…………」
「大野さん?」
「……ん?え?なに?」
どうしたんだろう。
「俺腹へった」
「………………嘘だろ?」
「ほんとほんと。あそこのソフトクリーム食べたい」
俺は、目線の先にあるソフトクリーム屋を指差した。
カラフルなソフトクリームのサンプルが賑やかに飾ってある。
「みて。有名な店だよ?いろんなテイストが楽しめるんだ。俺、マンゴー食べたい」
「え……俺はいらない……」
「またそういうこという。じゃあこれもシェアしよ」
ほらほら、と促すと、しょうがないな、といって大野さんは笑った。
やっと、笑ってくれた。
俺は、嬉しくて思わず大野さんの肩を抱いて歩きだす。
「ちょっ……やめろよ、恥ずかしい」
「いーじゃん。こうでもしないと大野さん逃げそうなんだもん」
「逃げないよ(笑)」
「いいから」
俺は、どさくさまぎれに大野さんと密着しながら、ソフトクリーム屋を目指した。
驚くほど華奢な肩だった。