第4章 夕虹
「見たいって……そんなにかわらないよ」
「いいから」
渋る大野さんを、せかすと、大野さんは、静かに黒ぶちの眼鏡をはずした。
少し恥ずかしそうに目をふせて、もういい?というから、俺は、まだダメって遮った。
うかがうように俺の顔をみる大野さん。
その目は優しく、瞳の色は髪の毛と同じで、少し茶色い。
透き通るような肌は白く、整った鼻梁と、赤い唇が艶やかだ。
俺は、心を落ち着けるために、ひそかにため息をついた。
素顔、やっぱりめちゃめちゃ綺麗だ……。
俺は、ドキドキがとまらなかった。
大野さんの素顔をみるのは、三回目だ。
一回目は、繁華街でチラッと。
二回目は、夜のコンビニで。
……こうやってまじまじとみるのは初めてだった。
「……松本?」
大野さんが、戸惑うように眉をさげる。
俺は、ぽつりと呟いた。
「大野さん」
「ん?」
「今からしばらく眼鏡はずしてて」
「……なんで……やだよ(笑)」
「あってもなくてもいいんでしょ」
「ばーか。ないよりはあった方がいいんだよ」
大野さんは苦笑して、手にしてた眼鏡をかけた。
「あー!」
「うるさいな(笑)」
「もったいない……綺麗なのに」
「綺麗なんて……言わないで」
笑って、大野さんは、残りの抹茶ラテを飲み干した。
俺は、二宮から、『綺麗って言ったら機嫌悪くなるから』と、言われていたことを思い出した。
俺は、心のなかで残念、と呟いた。