第4章 夕虹
大野さんは、なんともいえない顔のまま、黙ってソファに座る。
背もたれに埋もれてたさっきと違って、うつむいて俺とは目をあわせようとしない。
……まるで、俺にどう説明しようかと迷ってるようにみえた。
「びっくりした。バイトしてんの?」
だから、俺はできるだけ明るくつっこんでみた。
大野さんは、肩をゆらして、俺を見上げる。
その顔は想像以上に困惑の色が濃く、俺の方が戸惑った。
……それくらい別になんにも思わないのに。
それとも、それはやっぱり、そーゆー店だからなの?
「……うん」
「校則違反なんて、大野さんもやるじゃん」
「…周りには…内緒にしててくれる?」
「当たり前だよ(笑)言わねーよ」
そう言って笑ったら、硬い顔をしてた大野さんの顔が少し和らいだ。
……もうちょっとつっこんでみてもいいかな?
そう思った俺は、もう少し話を広げようと試みた。
「なんのバイト?」
「飲食店」
「いらっしゃいませーみたいな?」
「そうそう」
「え、そのときは眼鏡はずしてんの?」
「……うん。なくても、いけるっちゃいけるから……」
「ふーん……」
へへっと笑う大野さん。
眼鏡の奥の目が柔らかに細められる。
「ねぇ、ちょっとはずしてみてよ」
「え……」
「もう一度見たい」