第4章 夕虹
そのまま、お互いの好きな映画の話なんかをして楽しく過ごしていると。
「あれ?……大野?」
俺たちのテーブルの横を通り抜けかけた人物が立ち止まった気配があり、ふっと顔をあげた。
トレーを持ってそこで立ってるのは、細身の小柄な男。
甘いマスクの、可愛らしいタイプだ。
「……三宅……さん」
大野さんが呆然とした顔で、抹茶ラテの入ったコップを取り落とした。
それはガコンとトレーにぶつかり、小さな飛沫をあげた。
…………大野さん?
三宅と呼ばれた人は、心配そうに眉をひそめ、大野さんの肩に触れた。
「おまえ、体大丈夫かよ。だいぶ寝込んだって聞いたぞ」
「あ……はい。大丈夫です」
「店長が言ってたぞ。結構ヤバかったって?」
「ええ……まぁ」
歯切れ悪く返事をする大野さん。
…………。
俺は、二人のテンションの差を不思議な思いで見ていた。
三宅と呼ばれた男性が、久しぶりに会って嬉しいというような雰囲気を醸し出してるのに対し、大野さんはあきらかに迷惑そうだ。
「なんだよお前。眼鏡なんかしてんの?いつもしてねーじゃん」
「目……悪いから」
「へえ」
「あの……三宅さん。ちょっと友人がいるので……今は」
大野さんは、暗に、帰れと言っているのに、三宅と言う人は、あ、そーか、と言って意にも介さずに、俺に向き直り、ちょんと首を下げた。
「あ、どぉも。大野のバイト仲間の三宅です」
「…………」
…………バイト……?