第4章 夕虹
小柄な体に、ダボットした黒のTシャツが、すごく似合ってる。
しかも、大野さんてば、首筋とか、袖からでてる二の腕とか、男のくせにすべすべしてて超綺麗。
いやいや……俺、こんなこと思うなんてヤバイやつじゃん。
ぼけっと黙ったまま悶々としてる俺に、大野さんの黒ぶち眼鏡の奥の目が、不審そうな色にかわる。
「……どした?」
「いや……いや!なんでもない!」
どうしよう。
つまりだ。
どストライクだ。
めちゃめちゃ大野さん可愛いぞ。
俺は、大野さんの私服姿に完全に舞い上がっていた。
そんな焦ってる俺をみて、大野さんはくすりと微笑む。
「面白いやつ……で、なに観るの?」
俺の横にたって、いろいろな予告編の流れてるモニターを見上げながら、大野さんはキャップをはずした。
ちょっぴりペタンコになった髪の毛を、わしゃっとかきまわしたら、ふわりと大野さんの香りがたつ。
俺は、いろいろな要因にクラクラしながら、人気俳優が刑事役だというポスターを指差した。
「あれ……です」
「ああ……あれか。あれなら俺も気になってた。面白そうだよね」
大野さんが共感してくれるのが嬉しくて、俺は何度も頷き、上映開始時間を確認した。
「大野さん、ポップコーンいる?」
「……どっちでもいいよ(笑)でも、ひとつは食べきれないや」
「じゃあシェアしよう。俺買ってくるね」
「ありがと」
ニッコリ微笑まれて、俺はうきうきと駆け出した。
どうしよう。
すごく楽しい。