第4章 夕虹
Jun
叶わなかった映画の仕切り直し、という理由をつけて、俺はもう一度大野さんを誘った。
一回目は留守電だったけど、次の日はちゃんとでてくれた。
《いいよ。一緒に行こう》
「ほんとに?!」
そう言われて、俺は飛び上がるくらい嬉しかった。
嫌われてはないだろうけど、めんどくさいなぁって思われたら嫌だったから、なかなか誘えなかったんだよね……。
俺は、よっぽど声が上擦っていたのだろう。
《……落ち着けよ(笑)》
くすくす笑われて、俺は頭をかいた。
待ち合わせは、前回と同じシネコン。
俺は、前回同様、持ってる服のなかで一番気に入ってるもので来た。
白いシャツの袖をまくりながら、窓の外をみつめる。
朝少しだけ降っていた雨はやみ、雲間から青空がのぞいていた。
もうすぐ梅雨もあけるだろう。
夏休みも、すぐそこだ。
そうなると、今は学校があるから毎日会えてるけど、大野さんと、会えなくなる。
受験生の彼に対して無茶なお願いかもしれないけど、夏休み中一回くらいは誘ってもいいかな……。
「松本」
ぼんやりしていた意識が、柔らかな声音に引き戻された。
はっとして、振り返ると、そこにはTシャツ短パンにキャップ、という、意外にラフなスタイルの大野さんが、ふんわり笑って立っていた。
「おまたせ」