第4章 夕虹
体を売ることに、特に今まで何も感じたことはなかった。
俺にとっては、雅紀さんの存在が一番で。
彼への恩返しをしたい、ただその一念で。
金が稼げれば、しかも多く稼げれば……ただそれだけでよかった。
なのに、あれから、自分の気持ちが邪魔をするんだ。
俺は、真っ裸のまま、冷蔵庫からサイダーを出してごくごく飲んだ。
口をゆすいでもなお、酸味と苦味が充満する口の中がスッキリした。
カンと音をたてて、シンクにその缶を置く。
濡れた髪の毛のまま、ベッドに座り、ぼんやりと壁を見つめた。
ニノに告白されてから、自分自身の内面に向き合うことが増えた。
俺は、ニノに応えれるのか。
俺が好きだ、と想う人は誰なのか。
すごく考えた。
……答えは、まだはっきりはしてないけど、ニノがそばにいなくなって、寂しいのは確かだった。
でも。
俺は、スマホに手を伸ばし、電源をいれる。
すると、不在着信を示すランプが点灯する。
「………」
最近、毎晩電話がかかってくる相手。
三回に一回くらいしかでてやってないけど……ほんとは、毎日話したい。
そんな相手になりつつあるのが、松本だった。