第4章 夕虹
ニノは、あれからうちに来なくなった。
俺が裏のバイトを入れる日は、何故かいつも俺の家に勝手に入ってて、ゲームをしながら起きて待ってくれていてた。
……そして、優しくおかえり、と言ってくれていたのに。
暗い部屋に入り、蛍光灯をつける。
白く無機質な光に浮かび上がる部屋は、窓を締め切っていたせいでこもった匂いをしていて、蒸し暑くて。
こんなところにも、ニノの存在を思い知らされる。
暑くても、ちゃんと空気が循環された部屋に帰ってこれていたんだ、と思う。
黙って窓を少しだけ開けた。
「……」
スマホや財布を小さなテーブルに放り、バスルームに直行する。
今日の客は、スタンダードなセックスですんだから、それほど体は汚れてない。
中出しもされてない。
けど、やたらキスをせまる親父だった。
舌をつっこまれた感覚が、気持ち悪かった。
シャワーに顔を向け、がらがらと口のなかをゆすぐ。
「……っ」
突如、吐き気がおそってきて、あわてて便器に顔をつっこんだ。
ゲホっゲホっと胃の中身を出しながら、ユニットバスで良かった……なんて、どこか冷静に思っていた。