第4章 夕虹
《大野さん?》
「うん……」
《ごめん……あの……昨日も今朝もバスで会えなかったから、気になって……》
「うん……」
《留守電いれようと思って電話したんだけど……出てくれるなんて思わなかった。あの……具合大丈夫?》
「うん……」
《熱は?下がったの?》
「うん……下がった」
電話ごしの松本の声に、不覚にも泣きそうになった。
どうしてこのタイミングでかけてくるのか。
自分の気持ちのバランスが完全に崩れていて、優しい言葉に今弱い。
ばれないように鼻をすする。
《良かった》
「……今、学校?」
《うん。休み時間》
電話のバックが、なんだかザワザワしてる。
気になって、電話してくれることが、単純に嬉しかった。
《……明日は来る?》
「おう」
《待ってるね》
「うん」
何かべつのことを喋ったら涙がこぼれそうで、俺はひたすらに、うんとしか言わなかった。
電話を切って、俺はまた少し泣いた。
なんかよくわからないけど、泣けてきてしょうがなかった。