第4章 夕虹
次の日の朝、ようやく熱は下がったみたいだった。
みたいだ、というのは、体温計がないから感覚でしかわからないからだ。
だけど、手も頬も冷たいから大丈夫だと思った。
……でも、どうしても学校に行く気になれなかった。
どんなに、バイトをつめこんで次の日しんどくても、雅紀さんに顔向けできないから、と、学校だけは必ず行っていたのに……初めてサボった。
俺はうすぐらい部屋のベッドの上で、胎児みたいに体をまるめ、ぼんやりとすごした。
窓の外は、昼間だというのに暗い。
また今日から梅雨空に逆戻りだという。
空気をかえようと少しあけた窓からは、雨の匂いがした。
自動車が水しぶきをはねて走り行く音が、たまにするだけの静かな部屋は……なんだかひとりぼっちな気分が増幅されて、寂しい。
「…………」
俺は、投げ出した自分の手の爪をいじりながら、昨日のニノの顔を思い出してた。
見たこともない暗い顔だった。
まさか、ニノが俺のことを好きだなんて。そんなこと……夢にも思ってなかったし。
松本に、いやにこだわったニノ。
俺は、そんなに松本に固執してるかな??
確かに一緒にいたら楽だし。
話してて楽しいし。
一緒に映画行くのも楽しみにしてたけど……
無邪気な松本の笑顔を思い出す。
そう、あいつの……松本の笑顔は、気持ちが休まるんだ。